『四字熟語』で学ぶ経営戦略

はじめに

2017年2月からMCNホームページに毎週連載してきた『三々な経営』は、2019年6月の150号をもって一旦終了しました。またその後、各社で行った報告会の感想も同欄に掲載しています。さらにその折に皆さまからご要望のあった項目については、続編として適宜、追加掲載していくことをご案内させていただきました。今後も経営の「事典」「辞書」としてご活用ください。

さて今回は、新たな連載のご案内です。その主題は、『四字熟語』で考える経営戦略。「3」の権化・日本IBM元社長の北城恪太郎氏からは「四の五の言うな!」と叱られそうですが、「三々」と並行して経営戦略やその要素に関する4文字の熟語を考え続け、早30年になります。その数もついに3桁に到達しましたので、今回はその中から20を厳選し、以下の枠組みでご紹介していきます。既存のものに便乗した熟語も多く、「創作」というには気が引けますが、前シリーズ同様、閉塞する我が国企業の現状を打破するために、皆さんの戦略思考の一助となれば幸いです。

その1: 『四字熟語』の利点

『四字熟語』の長所は、まず何といってもその「おさまり」の良さ。表意文字である漢字は、当然のことながら、単独より複数の方がより的確に意思表示できます。「熟語」はその好例ですが、その前に「四字」という制約が置かれると、実に明確なイメージが浮かびます。実際、現在の「一帯一路」に至るまで、そのご本家で『四字熟語』が使われ続けていることは、漢字圏の社会で、それが社会的な標語として最適であることの証といえるでしょう。

また元々「四角」張った形が多い漢字は、偶数の組み合せが最適。3や5という奇数より、2や4で安定感を感じます。しかし6以上になると、私たちの記憶の限界に近づきますので、簡潔な「四字」が最適という結論が導かれます。さらに、4文字といっても、2文字×2の組み合せが圧倒的に多いという事実は、「3」の限界を超えているようで、実はその要件を満たしている点として見逃せません。

そして『四字熟語』の「おさまり」の良し悪しは、情報の送り手と受け手の双方が「爽快さ」を感じるか否か。また経営漫談の一環である以上、そこに「愉快」が加われば最高です。