1-Y 研修・セミナーの仕事

前回は海外展開の仕事についてコラムを書かせて頂きましたが、本日は私の退職後のもう一つの柱となっている研修・セミナーの仕事について書いていこうと思います。

中小企業診断士として独立を考える際に自分がやりたいこと、ありたい姿のようなものをずっと考えてきました。
そもそも診断士という資格には会計士でいう企業への会計監査や弁護士でいう法廷や法的アドバイスのような決まった独占業務がありません。独立開業している診断士たちは人によってそれぞれ別の事業の柱のようなものをもっているようです。企業との顧問契約を複数もって業としていらっしゃる方もいますし、商工会議所や中小機構での相談窓口を担当される方、研修の講師をされている方、ITの困りごとを解決している方、補助金申請のお手伝いをやっていらっしゃる方も少なくないです。

そんな中で私がずっとやりたかったことは研修やセミナーの講師の仕事でした。自分自身でも会社員時代に多くの研修を受講してきましたし、中には私がやった方がうまく伝えられるんじゃないか?と思うような講師がいたことも事実です。また、新入社員や若手を集めて社内研修を独自に進めたこともあり、他人に伝えることの面白さのようなものをとても強く感じていました。

診断士になってからは、社内研修とは異なり、知らない多くの方の前で話す機会もとても多くなりました。話しながら観客を見渡して気持ちが伝わっていることが感じられた時にはとてもうれしい気持ちになり、私が感じている嬉しさがさらに観客に伝わり、会場全体が楽しい雰囲気になっていくことは話し手冥利に尽きる感が致します。この感覚は音楽でステージに上がる時と極めて似ています。音楽で人を盛り上げることとセミナーで観客の心をつかむことには同じものが底流として流れているように思っています。音楽に明け暮れた学生時代の経験は今の研修・セミナーの経験にも活きていると感じています。さらには、歌うことによって、大きな聴きやすい声の出し方は身についていますし、マイクの使い方もお手の物であったりもします。

INPUTとOUTPUTでは私はどうもOUTPUTの方が好きな人間のようです。抽象的な伝えるべきことを自身の経験やたとえ話などで具体化して、相手にわかるようにお伝えする機会を得てよろこびを感じています。

最初に謝金を頂いたセミナーは診断協会中央支部国際部でお話ししたものであったかと思います。2015年に中国駐在から帰国した直後に1980年代から直近までの中国の成長を解説し、今後はどのような方向に向かっていくのかというテーマでした。比較的Awayな中でも、聞き手に納得してもらえたという実感があり、当日聴いてくださった観客の中で日中ハーフの方の当日のブログには私の講義が心に触れたことを書きのこしてくださいました。

その後、東京商工会議所東京都中小企業振興公社で、海外展開などのテーマでのセミナーを受け持たせて頂いたりしながら、会社員でも有休をとれば対応できる仕事として楽しく経験を積んできました。
印象に残っているのはJICAの研修です。アフリカ中心に発展途上国の技術コンサルタントを日本に呼んで、工場での実習も含めて1か月程度の研修を行う事業なのですが、そのうちの1日の座学の財務会計研修を担当させてもらいました。コンサルタントとはいえ、技術の方々ですから財務会計はとても苦手とのこと、そのような人たちをまる一日あきさせることなく、楽しみながら理解を深めてもらう。それも英語で。とてもやりがいのある仕事でした。ケーススタディのグループワークも楽しんで参加してくれました。一度良い評価を頂くとリピートオーダーが入ってくるのは、この仕事の特徴かもしれません。

そして、自分が退職しようと考えていた60歳まであと数年という時点からは、有休もしっかりと使って、会社外で仕事を獲得する段階を自分の中で切り替えました。いろんな先達のお話しを聞いて、自分自身の独立の話も聞いてもらってアドバイスを受けるようなことも多くやってきました。

そんな先達の中の一人がMCNメンバーの松波道廣さんでした。
「研修・セミナーやりたいんだったら、いい仲間がいるからぜひ来いよ」と言ってご紹介頂いたのが、このMCNでした。そして、MCNに参加し始めて約1年後にやはりこの松波さんから私の転機になるお話しを頂きました。

「井村に受け持ってほしい研修がある。多分知らない企業だと思うけど、日本パーカライジングという会社だ」

この会社名を聞いて、私は自分の運命的なものを感じました。大学時代に慶應の塾長であった石川忠雄先生のゼミに入り、中国政治を学ぶ中で、先生がおっしゃっていたいい会社なんだというお話しが頭の中をめぐりました。こんなところで出会うことになるとは。この研修は今も担当させて頂いていますが、私が退職を決断するスイッチを押してくれた案件だと考えています。

好きなことを仕事にする。自分の人生は全てつながっている。そんな幸せを日々感じながら過ごしています。

 



お問い合わせ